2002年4月、東京佼成ウインドオーケストラのアジアツアーは、フレデリック・フェネル(2014-2004)氏の指揮で予定されていた。ところが、リハーサル前日の4月7日、マエストロは成田空港に降り立ってこなかった。病気で入院されたとのこと。夜に一本の電話が鳴り、私が同団の指揮台に立つこととなった。翌朝のリハーサルで、私の前にはスコアの山が積まれた。一方、マエストロの快復を祈るため、小さな歌を作ることをリハーサル二日目に提案した。そして、4月10日未明に作曲し、11日に、秋川きららホールでの同団のコンサートで初演。翌週のシンガポール、マカオ、台中、台北のアジアツアーにても私の指揮と歌で演奏した。
それがこの歌。「元気になって、マエストロ」という意味。歌詞は、「Get well, Maestro」とか「Let’s play together」といったシンプルな英語。
フェネルさんの没後10年がたち、フェネルを知る人も少なくなってきた。が、現在でも東京佼成ウインドオーケストラの掛冠指揮者の名が冠せられているフェネルさんの、日本の吹奏楽の発展に大きく寄与した功績を折につけ思い起こしてほしいと考え、ここに上梓するに至った。
あるいはこのシンプルなメロディーに、みなさん自由に歌詞を付けて歌ってくれてもいい。
病に伏せている人たちの快復を祈って歌うのもよい。
希望に向かう応援歌でもよい。
オプション楽器は設定していませんが、小編成でも演奏可能です。
(バンドジャーナル8月号 付録楽譜解説より)