■歌曲集「ミルテの花」op.23 より「献呈」(R.シューマン/伊藤康英編曲)
ロベルト・シューマンは、時代により書く作品の領域が大いに偏っている。初期はピアノばかり書いていたかと思えば、晩年は「室内楽の年」と呼ばれ、室内楽作品を多く生み出した。「歌曲の年」である1840年の一年間には、年に120をこえる歌曲を作曲した。歌曲集「ミルテの花」は、クララ・ヴィークとの結婚式の朝にこの歌曲集を捧げたとのこと。その第1曲を飾るのが「献呈」。リュッケルトによる詩をみてみよう。
きみはぼくの魂 きみはぼくの心
きみはぼくの喜び ああ、きみはぼくの苦しみ
きみはぼくの世界 ぼくはそこに生きている
ぼくの天国であるきみ ぼくはそこに漂っている
ああきみはぼくの墓
その中に ぼくはとこしえに悩みを葬った
きみは憩いだ きみは安らぎだ
きみは天からぼくに授けられた
きみに愛され、ぼくはぼくの価値を知る
きみの眼差しはぼくを変えた
きみに愛されぼくは高まる
ぼくのすてきな精神
ぼくのもっとすてきなぼく自身! (伊藤康英 私訳)
と、ひたすらに恋人への賛美が続いていく。なお歌曲では詩の前半部分に戻る。 これを歌詞の意味やニュアンスを生かしつつ、吹奏楽の色彩で表現した。
◎洗足学園大学グリーンタイ・ウィンド・アンサンブルによる演奏。二種類の演奏を収めてあって、最初は24名+打楽器、次はもっと小編成で18名+打楽器です。 『バンドジャーナル』誌2015年7月号付録楽譜のために編曲。